冷えピタ・熱さまシート

小児用冷却貼付剤に解熱効果はありません。


これは大学の教養課程程度の物理や化学を学んだ者であれば、実験してみなくても自明なのですが、

物理や化学を学ばなかった人のために以下の文献を紹介します。


辻本奈美 小児用冷却貼付剤の効用について チャイルドヘルスVol3.No5.39-40


東京女子医大小児科の社本先生の報告では、4~15才の入院中の患児15名について熱さまし用冷却 シートの解熱効果とリラックス効果について検討しています。結果、熱さまし用冷却シート使用前後で全例に解熱効果を認めないという結果でした。それに反してリラックス効果(副交感神経優位状態)は15名中8例(53%)に認められたという結果でした。


メントール等の清涼成分がリラックスに有効だと思われます。一方で以下のような報告もあります。


2004年4月下旬北海道内において、発熱した生後4ケ月の男児の額に熱さまし用冷却シートを貼り看護していた母親が、夕食の後片付けのため目を離した隙に、熱さまし用冷却シートが男児の口と鼻を塞ぎ窒息状態となりました。患児は救急車で搬送後様々な治療に よって救命されたものの、低酸素性虚血性脳症が認められ、今後将来にわたり全介助が必要なほどの重度の障害が残る可能性が極めて高い状態となりました。

 国民生活センターで事故と同製品の「子供用」7銘柄、「ベビー用」4銘柄の粘着カとシートの大きさを調べました。結果、粘着カはどれもほぼ同じ程度で、 子供用のシートの大きさもほとんど同じでした。つまり、子供用のシートは多少の差はあるものの、どの銘柄も乳幼児の鼻と口を覆うことが出来ると考えられました。


 今後も同様な事故が起こる可能性は十分考えられるため、

1. 口や鼻に貼り付かないように注意する

2. 観察が十分できない場合は貼ったままにしない

3. 出来るだけ貼り直しをしない

などの注意を守って使用することが必要と思われます。


またICU入院中だった痴呆の高齢者が冷えピタを誤飲して心肺停止で発見されました。その時、気管挿管時に口腔内から冷 えピタが発見されました。(ICUで冷えピタを使っている病院のレベルってどうかと思うのですが。)


成人で接触性皮膚炎の報告もあります。きれいな形で赤くなるので診断は容易です。

(小児では接触性皮膚炎の頻度は成人より少ないです。)


有害無益とは言いませんが、リスクもあることを認識して使ってください。

メントール等の清涼成分が好きなら、Vicks VapoRubを塗れば良いでしょう。