<ロタウイルスワクチン>

途上国においてロタウイルスは乳幼児に高度の脱水をもたらし、大きな死亡原因となっています。

先進国でも、経口補水液(ORS)を適切に与えなかったり、点滴のタイミングを逸して

脳への血流が保てないほどの高度脱水を引き起こし、時には脳に後遺症が残るような悲劇が起きています。

また群発する無熱性痙攣を引き起こすことが知られています。

(これは脱水がなくても、電解質異常がなくても生じます。)

インフルエンザ脳症ほど有名ではありませんが、ロタウイルス脳症の発生が報告されています。(下記参照)


<日本における脳炎・脳症、化膿性髄膜炎の年間発生数>

化膿性髄膜炎 500~600例/年以上

原因不明の急性脳症・脳炎 150例/年以上

インフルエンザ脳症 100~300例/年 (定期接種中止後の1990年代は800例/年程度でした)

急性散在性脳脊髄炎(ADEM) 60例/年以上

HHV-6, 7脳症(突発性発疹症)60例/年程度

ロタウイルス脳症 20~30例/年程度

マイコプラズマ脳炎・脳症 10~30例/年程度

アデノウイルス脳炎・脳症 10~20例/年程度

ムンプス脳炎 15例/年程度

単純ヘルペス脳炎 10例/年以上

エンテロウイルス脳炎。脳症 10例/年以上

亜急性硬化性全脳炎(SSPE) 4~5例/年程度

VZV脳炎・脳症 5例/年以下

麻疹脳炎 5例/年以下

風疹脳炎 0~2例/年程度

日本脳炎 0~2例/年程度

このようにロタウイルスは小児の急性胃腸炎の中でも生命を脅かすことがあるため、ワクチンが作られましたが、以前開発されたロタウイルスワクチンは高率に腸重積を起こすために中止されました。

現在、腸重積を起こしにくいワクチンが開発され、非常に早期(月齢1~2)から接種することによって

腸重積を有意に増加させず、85%以上の高い防御効果を得ています。


<Rotateq>

ウイルス:ウシ-ヒトロタウイルスのリアソータント 5価生ワクチン

血清型:G1、G2、G3、G4、P[8]

製造会社:Merk

第3相試験参加国:アメリカ、フィンランド、メキシコ、イタリア、ドイツ、スウェーデン、ベルギー、

グアテマラ、台湾、ジャマイカ、プエルトリコ、コスタリカ

対象人数:70301例(ワクチン投与群34035例、プラセボ群34003例)

投与回数:3回

投与年齢:1回目を生後6~12週に接種、2回目と3回目はそれぞれ4~10週間隔で、生後32週までに3回接種。

各G血清型に対する防御効果:

G1:95%

G2:88%

G3:93%

G4:89%

G9:100%

ロタウイルス胃腸炎に対する臨床的防御効果:

重篤例の予防率:95%

入院例の予防率:96%

腸重積の頻度:2.02例(投与群)対1.70例(プラセボ群)/10000接種

認可した国:アメリカ他4カ国


<Rotarix>

ウイルス:ヒトロタウイルス 弱毒生ワクチン

血清型:G1、P[8]

製造会社:GlaxoSmithKline biologicals

第3相試験参加国:アルゼンチン、ブラジル、チリ、コロンビア、フィンランド、メキシコ、パナマ、ベネズエラ他12カ国

対象人数:63225例(ワクチン投与群31673例、プラセボ群31552例)

投与回数:2回

投与年齢:1回目を生後6~14週に接種、4週以上の間隔を空けて2回目を生後14~24週に接種。

各G血清型に対する防御効果:

G1:92%

G2:41%

G3:87%

G4:

G9:91%

ロタウイルス胃腸炎に対する臨床的防御効果:

重篤例の予防率:85%

入院例の予防率:85%

腸重積の頻度:1.89例(投与群)対2.21例(プラセボ群)/10000接種

認可した国:EU諸国、ラテンアメリカ15カ国他29カ国

日本でもロタウイルスワクチンが始まれば、ロタウイルスによる脱水、痙攣、脳症が減り、

子どもにとって大きな利益となることは間違いありません。

2006年記)


≪他のワクチン(Hib, HBV, PCV7, DTaP, IPV, OPV)との同日接種による影響≫

アメリカにおける併用Cohort studyにおいて、Rotateq群はプラセボ群に対して劣っていないことが証明されています。

Rodriguez ZM et al. Pediatr Infect Dis J 2007; 26: 221-227

Ciarlet M et al. Pediatr Infect Dis J 2008; 27: 874-880