卵アレルギー患者への予防接種

鶏卵アレルギーの児の殆どにとって、MRやインフルエンザ予防接種を行っても危険度は健常児の接種と変わりません。特に卵ボーロを1個食べることができれば、間違いなくワクチン中の卵抗原量は問題になりません。卵ボーロ1個でもアナフィラキシーを起こしたことがある場合は専門医にご相談下さい。

以前は、10~100倍に希釈した液で皮内テストをしてから接種していましたが、実際の接種よりもかなり痛くて、アナフィラキシーを予測できないことからアレルギー専門外来を持つ病院でも、アナフィラキシーへの対処法を準備した上で、直接接種を行うことが多いようです。

以下に参考文献を示します。

≪基礎疾患をもつ人への予防接種 ≫

Author:庵原俊昭(国立病院機構三重病院 小児科)

Source:日本小児アレルギー学会誌(0914-2649)24巻2号 Page193-202(2010.06)

<結論>日本のインフルエンザワクチンは十分精製されており、卵アレルギー児への接種は可能である。


≪アレルギーを持つ小児へのワクチン接種 ≫

Author:伊藤浩明(あいち小児保健医療総合センター アレルギー科), 二村昌樹, 高岡有理

Source:Journal of Environmental Dermatology and Cutaneous Allergology(1882-0123)3巻2号 Page57-62(2009.04)

<結論> インフルエンザと黄熱病のワクチン液には10ng/ml以下の鶏卵蛋白が検知されるが、鶏卵アレルギー児に対する摂取で副反応の有意な増加を認めた報告はない。我々も、鶏卵アレルギー児のインフルエンザ副反応に関する多施設共同調査を実施し、185例中16例(8.6%)に軽微な副反 応を認めた。この頻度は、一般的な副反応発現率と同等であり、鶏卵アレルギーの症状や、卵白特異的IgE抗体価との関連も認めなかった。