人種差より感染対策の影響が強そうだ

以下のサイトで世界の感染者数や死者数を見ることができます。

感染者数は検査へのアクセス難易度によって変化するので、死者数の方が実情を反映しているでしょう。

https://www.google.com/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=&ved=2ahUKEwiIkOLavdb2AhXrwYsBHUCdDwcQFnoECBQQAQ&url=https%3A%2F%2Fourworldindata.org%2Fcoronavirus-data-explorer&usg=AOvVaw2cW35hp8Hn2SUI5WZPss9j

この図から言えることは、

1.ワクチンによって死者は減った。

2.しかし当初言われていた人種差は思っていたより大きく無さそうだ。

握手やハグやマスクの習慣等の影響は強そうだが、重症度は初期に吸い込むウイルス量によってある程度決まる。

換気できる住環境や、検査隔離できる社会的リソースに依存するのだろうと思う。


(2022/03/21 管理者記載)

まず最初の図はワクチン登場以前の世界の国々の死者数。

「コロナは風邪」戦略を取り、共存を選んだスウェーデンやイギリスの試みはβやΔと病原性が強くなっていく毎に打ち砕かれてしまった。

イギリスでは100万人当たり毎日18名が亡くなっていた。
日本で言うと人口の少ない県では100万人に届かない県がいくつかあるが、例えば山梨医大で5名、県立中央病院で5名、大月や自宅で亡くなる人が5名程度という感覚でしょうか。

ECMOが数名、人工呼吸器は10台以上が常時稼働しているような状態でしょう。

2021年初頭にイスラエルから始まったmRNAワクチンは強力にパンデミックを押さえ込んだ。
2021年夏にかけて世界は楽観的ムードが広がった。

2021年秋、「アメリカは何やってんだよ。ワクチンを生産できるのに野球場で誰もマスクしてないからこんなことになるんだよ。」って思っていた。

そして2021年11月24日に南アフリカで「オミクロン株」が発生したという報道が流れてきた。
世間の人は「オミクロン」という聞き慣れない言葉に戸惑っているようだったが、我々にとってはWHOがいち早く「Variant of concern」を宣言したことが意外だった。λ株に対してはVOCを宣言しなかったWHOが躊躇無く宣言したため、これは注目しておかないといけないと感じていた。

人口密度の高いアジアの国にとってはο株は、Δ株より大きなインパクトをもたらした。
重症化率は低くても数のパワーは凄い。あっという間に日本でもΔ株の頃の感染者数だけでなく、死者数でも追い抜いてしまった。
タイのように暑くてウイルス粒子(Virion)が不安定になる国でも2022/03/21時点では日本を抜いてしまった。
優等生だったシンガポールも日本よりも死者数は多い。
常時、戦時状態で大統領権限の強い韓国は欧米の国々を死者数で抜いてしまった。

さて、上の2枚の図にはトリックがある。
1枚目の図の縦軸はUKにおける1日の死者は18名程度。2枚目の図はアメリカが7名超だ。

3枚目の香港を見てみよう。
35名超だ。Δ株の頃のUKの2倍程度になっている。
香港の医療事情がどの程度混乱しているのか、よく分からない。
しかし少なくとも東アジア人は有利と思われていた人種差は意外にも大きくないことが分かる。
(東アジアには有利な遺伝子があるという論文も複数あり、いくつか遺伝子は発見されているので全く無い訳では無い。)

また感染経路の殆どが接触感染では無く、空気感染(飛沫核感染)していることから、握手やハグという習慣も「距離的に近付いて話す」という行為を助長することに間接的に影響するだけで、握手やハグをしなかったら感染させないわけでは無い。
欧米の握手やハグ、ラテンの国々のチークキスは人間のコミュニケーションとしては素晴らしいものなので、パンデミック後はやり方を変えて残すことを考えた方が良いのだろうと思う。

Δ株がmRNAワクチンによって完全に押さえ込まれていく様子を見ていた頃の楽観的ムードは私には最早無い。
OC43によると言われているロシア風邪(1889−1895年)がどのように6年間で終息したかは分からないが、おそらく混合型のmRNAワクチンを開発して、ウイルスと共存していくことになるのだと思う。
但し余りにも感染力が強く、麻疹が10日、Δ株は4.6日、一方このο株は2.1日と短くなっていることを加味すると、現在は麻疹レベルのインパクトで、2021年春にmRNAワクチンが出現した当初、「2023年頃マスクの要らない日常が戻ってくるだろう」と予想していたが今は分からない。