妊娠中の喫煙で子の10%に聴覚障害

妊娠中の母親の喫煙と生後の受動喫煙で児の10.3%に聴覚障害

研究グループは、2004~10年に生まれた小児5万734人を対象に、妊娠中の母親の喫煙および出生後の受動喫煙と児の聴覚障害との関連を後ろ向きに検討した。受動喫煙の状況は、妊娠届の提出時および乳幼児健診受診時にアンケートを行い、以下の6群に分類した。

その内訳は、①が74.4%(3万7,750人)、②が3.9%(1,996人)、③が15.2%(7,733人)、④が1.6%(829人)、⑤が3.8%(1,947人)、⑥が0.9%(479人)であった。全体の3歳時点における聴覚障害の有病率は4.6%で、①の4.1%に対し、⑥10.3%と2倍以上であった。

①に対する相対リスク(RR)は、②が1.30(95%CI 1.07~1.56)、③が1.26(同1.13〜1.40)、④が1.62(同1.23~2.10)、⑤が1.68(同1.42~2.00)、⑥が2.35(同1.79~3.10)であった。

また、児の聴覚障害リスクは妊娠中の母親の喫煙本数とともに上昇した。RRは母親の喫煙本数が10本未満/日の児が1.63(同1.30~2.05)、10本以上/日の児が1.90(同1.58~2.29)であった。

この結果を受け、研究グループは「受動喫煙は小児における聴覚障害の危険因子であり、受動喫煙を回避することで聴覚障害リスクを低減できる可能性が示された」と結論した。また、出生後の受動喫煙と比べ、妊娠中の母親の喫煙がより聴覚障害リスクを上昇させていた点について、「胎児は胎盤を通じて母親よりも高濃度のニコチンに曝露されることに加え、発達中の胎児の蝸牛はニコチンや他の化合物の毒性の影響を受けやすい可能性がある」と付言した。