<起立性調節障害>

起立性調節障害は漢方薬が得意とする分野です。

・起立性調節障害(以下ODと略す)に対する柴胡桂枝湯の効果は、患児の訴えが最も強い症状を”主訴”とすると

主訴の改善率で65%でした。有効例の約半数では内服中止後も悪化や再発がありませんでした。

特に小症状の「臍疝痛、倦怠感、頭痛、収縮期血圧低下」に対して高い消失率でした。

・ODの診断基準を満たし、

目眩、立ち眩み、動悸等の”大症状”を主に訴える患児には半夏白朮天麻湯エキスを8週間、

食欲不振、腹痛等の”小症状”を主に訴える患児には小建中湯エキスを8週間投与した。

大症状群(半夏白朮天麻湯エキス群)では、著効例52.6%、有効例26.3%で合わせて78.9%でした。

小症状群(小建中湯エキス群)では、著効例62.5%、有効例12.5%で合わせて75%でした。

・ODの診断基準を満たした患児に対して補中益気湯を8週間投与したところ、有効率は70%であった。

大症状が完全に消失した者の割合は各項目36~58%で、小症状が完全に消失した者の割合は33~88%であった。

特に、「臍疝痛、倦怠感、頭痛、収縮期血圧低下」に対して高い消失率を示した。

逆に消失率が50%を切った症状は、「立ち眩み、入浴時の悪心、乗物酔い、脈圧狭小化、脈拍増加」であった。