アーモンド+チョコで肥満者のLDL-Cが低下

(あくまで糖分を取り過ぎないことが重要です。アーモンドとカカオの良い効果を打ち消してしまいます。)


クロスオーバーRCTで検討

米・Pennsylvania State UniversityのYujin Lee氏らは、ダークチョコレート、ココア、アーモンドが冠動脈心疾患(CHD)リスクマーカーに及ぼす影響をクロスオーバーランダム化比較試験(RCT)で検討した。その結果、「アーモンドの摂取によるLDLコレステロール(LDL-C)の低下、アーモンドとチョコレート・カカオの同時摂取による小型高密度LDL-C(sdLDL-C)の低下が示された」とJ Am Heart Assoc(2017年11月29日オンライン版)で報告した。

体重維持下で食事内容の影響を検討

 同試験では30~70歳の過体重・肥満者48例を

①非治療食(米国の平均的な食事内容)

②アーモンド42.5g/日を取り入れたアーモンド食(ALD)

③ココアパウダー18g/日とダークチョコレート43g/日を取り入れたチョコレート食(CHOC)

④アーモンド、チョコレート+ココアを組み合わせたメニュー(CHOC+ALD)

―の摂取群にランダムに割り付け、①~④を2週間のウオッシュアウト期間をはさんで4週間ずつ摂取させた。

 試験への組み入れ基準は、年齢が30~70歳、BMI 25~40、LDL-Cが1999~2000年の米国民保健栄養調査(NHANES)の25~95パーセンタイル内(男性105~194mg/dL、女性98~190mg/dL)とした。喫煙者、血圧が159/99mmHg以上、心筋梗塞・脳卒中・糖尿病・肝疾患・腎疾患・甲状腺疾患・炎症性腸疾患などの既往、特定のサプリメント・薬剤の服用、妊婦・授乳中女性、ベジタリアン、ナッツアレルギーなどに該当する者は除外した。

 アーモンド、チョコレート、ココアは間食として摂取させたが、4種のメニューでの総カロリー量を均一にするため、メニュー間でバター、チーズ、精製された穀物の量を調整した。

 総カロリー量は現在の体重を維持する量とした。また、ノンカロリー飲料の摂取には制限を設けなかったが、アルコール飲料は週2単位以内に制限した。

 4週間の食事療法が終了した時点で毎回空腹時採血を行い、脂質プロファイル、酸化ストレスの変化、血流依存性血管拡張反応(Flow-mediated dilation:FMD)などで血管内皮機能の変化を検討した。

LDL-Cの亜分画に有意に影響

 解析対象は31例(男性18例、平均年齢46.3±1.8歳、平均BMI 29.6±0.5)であった。ベースラインにおける血中脂質の平均値は総コレステロール(TC)が210.0±6.6mg/dL、LDL-Cが138.3±5.7mg/dLと高かったが、他の健康上の異常は認められなかった。

 検討の結果、非治療食群と比べてALD食群ではTC(204.6±3.6mg/dL vs. 195.4±3.6mg/dL、P=0.004)、non-HDL-C(162.8±3.5mg/dL vs. 154.0±3.5mg/dL、P=0.006)、LDL-C(135.6±2.8mg/dL vs. 126.4±2.8mg/dL、P=0.003)が、それぞれ4、5、7%有意に低下していた。しかし、HDL-C、IDLコレステロール、VLDLコレステロール(VLDL-C)、トリグリセライド、リポ蛋白(a)に有意差は見られなかった。

 リポ蛋白の亜分画での検討では、各食事療法はHDLの亜分画およびVLDL-Cの亜分画である小型レムナントVLDL-Cには影響を及ぼさなかった。しかし、LDL-Cの亜分画については非治療食群と比べて

ALD食群ではlarge buoyant LDL-Cが有意に低く(47.5±2.3mg/dL vs. 42.1±2.3mg/dL、P=0.04)、

CHOC+ALD食ではsdLDL-Cが有意に低かった(65.2±2.8mg/dL vs. 58.5±2.8mg/dL、 P=0.04)。

 アポリポ蛋白(apo)については、非治療食群に比べてCHOC+ALD食群でapoB濃度が有意に低かったが(P=0.02)、apoA-1への有意な影響は示されなかった。

 代謝パラメータでは、非治療食群と比べてCHOC食群とCHOC+ALD食群で空腹時血糖値が有意に高かったが、他の指標に有意差は示されなかった。

 血管内皮機能および酸化ストレスについては食事療法間で有意差は見られなかった。

 以上の結果から、Lee氏は「十分に管理された食事下で、アーモンドを単独あるいはダークチョコレート・カカオとともに摂取すれば脂質プロファイルが改善することが示された。総カロリー量の制限を遵守しつつ、これらの食材を摂取すればCHDリスクの低減につながるかもしれない」と指摘。その一方で、「総カロリー量を厳格に制限することが大前提となる。自由裁量分のカロリーの一部をアーモンドやカカオに"置き換える"ことがポイントで、従来食にチョコレートを追加することを認めるものではない」と強調している。