妊娠中の漢方薬

動物実験では全ての漢方薬で催奇形性は否定されており、人への投与も症例集積では催奇形性は否定的ですが、漢方薬の幾つかの処方は子宮収縮を促進する懸念が指摘されており、妊娠後期は流産・早産に注意が必要です。(逆に初期は注意しなくても良いようです。)

これに該当するのは、血剤と呼ばれるグループのものと、緩下剤を含むグループです。

しかし実際にこれらを含む薬剤も妊婦に使用された事例はあり、概ね安全です。中国で使用する生薬は子宮内膜を剥離させるようなものがあるそうですが、日本では入手できない生薬ばかりなので、心配要りません。


<駆血作用のある生薬>

牛膝(ゴシツ):ヒナタイノコズチの根

牡丹皮(ボタンピ):ボタンの根皮

紅花(コウカ):ベニバナの管状花

(例:六味丸、八味丸、牛車腎気丸、桂枝茯苓丸、)


<緩下作用・駆血作用のある生薬>

大黄(ダイオウ):タデ科の根茎

芒硝(ボウショウ):硫酸ナトリウム

(例:桃核承気湯、大承気湯、三黄瀉心湯、潤腸湯、大柴胡湯、麻子仁丸、大黄甘草湯、調胃承気湯、通導散、防風通聖散、桂枝加芍薬大黄湯)


<ブシの副作用が懸念される薬剤>

附子末(ブシ末):キンポウゲ科のハナトリカブトの塊根

(例:真武湯、麻黄附子細辛湯)