CoVID-19ワクチン
ファイザーとModernaのワクチンは自分の順番が来たら、ぜひ打ってください。
安全且つ有効なワクチンです。
2021年2月時点のように争奪戦になっている状況では、後になればなるほど、成績の悪いワクチンが回ってくる可能性があります。
40歳未満で持病が無い日本人の場合、死亡例は殆どありませんが、Long CoVIDが起きる可能性はあります。
従って自己免疫疾患が起き得る思春期以降の男女ではお勧めできるワクチンです。
思春期以前でも、PFAPA等の自己炎症性疾患や川崎病の既往がある場合は、おそらくお勧めできるワクチンです。
しかし思春期以前では自己免疫疾患は稀です。
こういった児にはCoVID-19ワクチンは社会貢献という意味しかありません。
利益とリスクを比べると小児には強く勧めることは難しいワクチンですが、我々は社会の一員です。
献血のような気持ちで受けることをお願いしたいと思います。
<ワクチンの種類>
アメリカ製ワクチンのうち、ファイザーとモデルナのワクチンがmRNAワクチンで、
アストラゼネカとJohnson & Johnsonは、非複製型ウイルスベクターワクチン。
ノババックスはタンパクサブユニットワクチン。
いずれも従来の不活化ワクチンでは無い。
(管理者私見:
私見ですが、単なる不活化ワクチンはコロナウイルスに対して推奨しません。SARS-CoV-1の際からメガファーマはワクチン開発に取り組んできましたがすぐには完成せず、流行は終息しました。季節性コロナウイルスに対するワクチンは完成していませんし、RSVワクチンも過去に失敗しています。以前から存在するウイルスで現在もワクチンが存在しないものは、単なる生ワクチンと不活化ワクチンが成功しなかったと考えて良いと思います。
mRNAの不安定さに起因する温度管理の難しさを除けば、mRNAワクチンは画期的で優れたワクチンです。
アデノウイルスベクターを使ったワクチンはアデノウイルスに対する免疫を持つ場合に、抗体が付きにくい可能性があるという懸念があります。)
ファイザーとModerna製ワクチンの有効率は90%を超えた。温度管理が難しい。
アストラゼネカは80〜90%程度である。また温度管理がし易い。
Johnson & Johnsonは有効率63%とワクチンとしては低く、
中国のシノバックはブラジルの治験では50.4%であった。
(有効率が50%を切ると、通常発売されない。)
(管理者私見:
不活化ワクチンの有効率の基準として、インフルエンザ予防接種の有効率が成人でも最大74%程度というのが参考になると思います。感染は軽く済むことが多いですが、罹る人がいますよね。インフルエンザ予防接種を下回るようなワクチンだと、社会不安は拭えないと考えます。)
厚労省はいち早く良いワクチンを選択しました。
ファイザー日本法人が動いてくれないことに業を煮やし、(外務省が?)ファイザーアメリカ本社に直接交渉を行い、買い付けることに成功しました。
その後の争奪戦では、イスラエルが接種後の情報を全てファイザーに提供し、通常の倍の価格で買うことでいち早く入手しました。
日本のように政治家のITリテラシーが低い国では、情報提供は無理です。
マイナンバーには(行政のITリテラシーが低いことに起因する国民の根強い不信感によって)色々不自由な仕組みが残っています。
HER-SYS、G-MIS、V-SYS等のデータベースがありますが、データベースはマイナンバーを軸に繋がっていないため、それぞれログインやパスワードは別々で、とても使いにくいものです。
日本のIT技術者のトップ層は国別ランキングで、世界のトップ10に入っています。
決して日本のIT技術者のレベルが低いわけではありません。(トップ層は薄いですが)
<mRNAワクチンの特徴>
・mRNAワクチンはヒトDNAを改変できない。
・細胞性mRNAは20万コピー以上あるが、ワクチン由来mRNAはわずか数コピー
・ワクチン由来mRNAは細胞質内から2〜3日で排除される。
・核内へのアクセスのシグナルは認めない。
・逆転写酵素の利用はしていない。
・防腐剤なし。
・抗菌薬なし。
・アジュバントなし。
・全ての構成物は速やかに除去される。
・ポリエチレングリコールは含まれる。(これがアナフィラキシーの原因と推測されている。)
<ファイザーワクチンの免疫原性>
<結果>
合計195人の参加者が無作為化試験に参加しました。 15人の参加者からなる13のグループのそれぞれで、12人の参加者がワクチンを受け、3人がプラセボを受けました。 BNT162b2は、特に高齢者において、BNT162b1よりも全身症状の発生率と重症度の低下に関連していました。
若年成人と高齢者の両方で、2つのワクチン候補は同様の用量依存性SARS-CoV-2中和幾何平均力価を誘導しました。
これはSARS-CoV-2回復血清サンプルの幾何平均力価と同等またはそれ以上でした。
つまり、自然感染者よりもワクチンの方が免疫が付くということです。
Walsh EE et.al. N.Engl. J.Med. 2020
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2027906
ファイザーのワクチンに関しては、次のグラフが一目瞭然でしょう。
青い曲線がプラセボ群、赤い曲線が実薬群です。
圧倒的な差が付いています。
・Th1細胞優位の反応
・治験参加者は基礎疾患ある人が多い。
・1回目接種12日目から有効性を発揮。
・2回目接種22日後からかなりの差が出てくる。
・1回接種だと有効率は50%程度。
・2回接種だと有効率は90%以上。
・重症CoVID-19予防率は88%程度。
Polack, et.al. N.Engl.J.Med. 2020; 383: 2603-2615
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2034577
・55歳以上の方が副反応が少ない。
・今までのワクチンより腫脹等の副反応はやや多い。
・1回目より2回目の接種の方が副反応が多い。
・接種翌日に出現し、1〜2日で軽快することが多い。
・死亡例:ワクチン群2例vsプラセボ群4例
・顔面神経麻痺:4例vs0例(いずれも自然発生率以下)
(管理者注:従来のワクチンと比べて、副反応はやや多いが、特別重篤なリスクは無い。)
<ファイザー製CoVID-19ワクチンの効果:イスラエルでの結果>
一般的に病気の人に対する薬剤の治験はせいぜい数千名で行いますが、健康な人に接種するワクチンは数万名の被検者で証明しないといけません。
ワクチン接種後の調査は数十万名に対して調査を行うことが多いです。
かなり正確にデータが追えるイスラエルの60万人程度の初期情報は貴重なものです。
現実の世界でもかなりの有効性を示しています。
BNT162b2 mRNA Covid-19 Vaccine in a Nationwide Mass Vaccination Setting
(BNTはBioNTech社というトルコ系ドイツ人が作った会社の略で、ファイザーがBiontech社を買収しました。BNT162b2はファイザー製ワクチンの記号です。商品名は『COMIRNATY』です。)
<結果>
各研究グループには、59万6,618人が含まれていました。
最初の投与14〜20日後、および2回目の投与7日後以降でのワクチンの推定有効性は次のとおりでした。
無症候性も含めた検査陽性の感染者に対しての有効率は、46%(95%信頼区間[CI]、40〜51)および92%(95%CI、88〜95)、
症候性Covid-19の場合、57%(95%CI、50〜63%)および94%(95%CI、87〜98%);
入院患者に対する有効率は、74%(95%CI、56〜86%)および87%(95%CI、55〜100%)、
重症患者に対して、それぞれ62%(95%CI、39〜80%)および92%(95%CI、75〜100%)、
Covid-19による死亡を予防する効果の推定値は、初回投与14〜20日後で72%(95%CI、19〜100)でした。
つまり1回接種だけだと、50〜70%程度の有効性で、Johnson & Johnsonやシノバック程度となります。
2回接種では90%程度の有効率です。
(管理者注:EUによる出荷制限のため、中々ファイザー製ワクチンは日本に入って来ませんが、2021年2月時点のアメリカでは接種間隔は6週間までは空けても大丈夫としています。2回目がいつかは接種できる可能性を考えると、やはりファイザーとModerna製ワクチンが良さそうです。)
無症候性および症候性Covid-19について評価された特定の亜集団における推定有効性は、年齢グループ間で一貫しており、複数のウイルス種が共存した状態の人ではわずかに低い有効性でした。
(2種類以上の種が同時に感染すると、重症化することが知られています。)
<結論>
イスラエル全土で行われた集団ワクチン接種の研究では、BNT162b2 mRNAワクチンがCovid-19関連の広範囲(年齢や、症候性や無症候性に依らず)の結果に有効であることを示唆しており、ランダム化試験の結果と一致しています。
February 24, 2021
DOI: 10.1056/NEJMoa2101765
https://www.nejm.org/doi/10.1056/NEJMoa2101765
<モデルナワクチンによる抗体持続性>
<CoVID-19回復患者の血漿よりも高値>
SARS-CoV-2の感染を防ぐためのメッセンジャーRNAワクチンmRNA-1273の第1相試験の結果、2回の注射を受けた同じ試験の34人の健康な成人参加者における最初のワクチン接種から119日後(2回目のワクチン接種から90日後)の免疫原性データについて説明します。
100μgの用量のワクチンを28日間隔で受けました。 レシピエントは年齢(18〜55歳、56〜70歳、または≥71歳)に従って層別化されました。
100μgの用量で、mRNA-1273は高レベルの結合および中和抗体を産生し、予想通り、時間の経過とともにわずかに低下しましたが、追加免疫ワクチン接種後3か月ですべての参加者で上昇したままでした。 スパイク受容体結合ドメインへの結合抗体応答は、酵素結合免疫吸着測定法によって評価されました。 119日目の時点で、幾何平均力価(GMT)は、18〜55歳の参加者で235,228(95%信頼区間[CI]、177,236〜312,195)、それらの参加者で151,761(95%CI、88,571〜260,033)でした。 56〜70歳、71歳以上では157,946(95%CI、94,345〜264,420)
119日目に、結合および中和GMTは、Covid-19から回復した41人の対照群のGMTの中央値を超え、診断からの中央値は34日でした(範囲23〜54)。
重篤な有害事象は認められませんでした。
治験では、事前に指定された治験中止規則は満たされず、57日目以降に治験責任医師がワクチンに関連すると見なした新たな有害事象は発生しませんでした。
ヒトにおけるSARS-CoV-2感染に対する防御の相関関係はまだ確立されていませんが、これらの結果は、結合および中和抗体の力価のわずかな予想される低下にもかかわらず、mRNA-1273が永続的な体液性免疫を提供する可能性があることを示しています。 自然感染は、抗体の寿命が変動し、血漿中和活性が低いにもかかわらず、強力なメモリーB細胞応答を誘発する可能性があります。
mRNA-1273に対する記憶細胞応答はまだ定義されていませんが、このワクチンは最初のワクチン接種から43日後に一次CD4Type1ヘルパーT応答を誘発し、ワクチン誘発B細胞の研究が進行中です。
縦断的ワクチン反応は非常に重要であり、参加者の安全性と免疫原性を13か月間評価するための追跡分析が進行中です。
私たちの調査結果は、進行中の第3相試験で100μg用量のmRNA-1273を使用することを支持します。
これは、中間分析で94.5%の有効率を示しました。
N Engl J Med 2021; 384:80-82 DOI: 10.1056/NEJMc2032195
Widge AT, et. al.
https://www.nejm.org/doi/10.1056/NEJMc2032195
<モデルナワクチンの有効性と安全性>
Modernaのワクチンのデータも一目瞭然の強烈なものです。
グレーの曲線がプラセボ群、青い曲線が実薬群です。
縦軸は累積患者数です。圧倒的な差が付いています。
・2回接種2週間以降の発症予防効果 89-97%
・重症予防効果は100%(2020年12月時点の第三相試験)。
・無症候性感染も減っている(統計学的有意差は2020年12月時点でまだ確定していない。)
・疼痛の副反応が最も多い。
・2回目接種後の方が多い。
・既感染者の方が副反応が少ない。
・重篤な副反応:ワクチン群6例vsプラセボ群4例
・死亡例:ワクチン群6例vsプラセボ群7例
・顔面神経麻痺:3例vs1例(いずれも自然発生率以下)
Baden, et.al. N.Engl.J.Med. 2020Dec. 30. doi: 10.1056/NEJMoa2035389
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2035389
<ADEとVAERDについて>
ここからは副反応についてです。
実は開発に着手したワクチンのうち、96%は副反応によって開発が中止されています。
市場に出てくるワクチンはたった4%しかなく、厳選されたワクチンです。
<ADEとは>
抗体依存性感染増強現象(Antibody-dependent enhancement:ADE)
不完全な抗体が抗原を中和できず、逆にFc受容体を介してターゲットになる細胞内にウイルスを引き入れてしまい、重症化する現象です。
デング熱に対するワクチンが失敗した原因です。インフルエンザワクチンでも人によって起きることがあります。(ワクチンを打つと逆に罹ってしまうという人はおそらくADEが起きています。)
<VAERDとは>
ワクチン関連増強呼吸器疾患(Vaccine-associated enhanced respiratory disease:VAERD)
ワクチンによって中和作用の低い抗体が産生され,その抗体がウイルスとの免疫複合体を形成し,補体活性化を惹起して気道の炎症を引き起こす。
またこの不完全な抗体はTh2細胞優位の免疫反応も惹起して気道内にアレルギー性炎症を引き起こす。
昔、RSVワクチンが失敗に終わった原因です。
Graham, et.al. Science 2020;368:945-6
不完全な抗体は、Th2細胞優位なアレルギー反応を肺胞内で起こす。
Lee WS, et.al. Nat.Microbiol. 2020 Oct;5(10):1185-1191.
<デングワクチンによるADE>
Sridhar et.al. N.Engl.J.Med. 2018 Jul. 26;379(4):327-340.
<RSV不活化ワクチン>
Kim HW, et.al. Am.J.Epidemiol. 1969 Apr;89(4):422-34.
<VAERDの病理>
患児の肺組織で補体の活性化を認めた。
マウスを使った実験では好酸球性炎症を認めた。
Polack FP, et.al. J.Exp.Med. 2020 Sep 16;196(6):859-65
<SARS-CoV-1ワクチンとVMED>
不活化ワクチンとベクターワクチンではVMEDが多い。
Lambert PH. et.al. Vaccine. 2020 Jun.26;38(31):4783-4791.
<モデルナワクチンによるVAERDは起きなかった>
・アカゲザルでのSARS-CoV-2チャレンジテスト。
・十分な中和抗体の産生とTh1優位の反応あり。
・肺組織でワクチン接種群では、炎症性変化が少なく、100μg群ではウイルスを認めず。
・ワクチン関連の免疫病理学的な変化は認めず。
Corbett KS, et.al. N.Engl.J.Med. 2020 Oct. 15;383(16):1544-1555.
<CDCによるアナフィラキシーの初期報告>
・12月14日〜23日の接種者。
・100万接種当たり約11名の頻度。
・86%が接種30分以内に発症。
・追跡できた症例全てで回復を確認。
・17例(81%)にアレルギーの既往あり。7例はアナフィラキシーの既往あり。
・9割が女性
MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2021 Jan 15;70(2):46-51.
Castells MC, et.al. N.Engl.J.Med. 2020. Doi: 10.1056/NEJMra2035343.
<他のワクチンの副反応>
McNeil, et.al. J.Allergy Clin.Immunol. 2016 Mar;137(3):868-78.
ポリエチレングリコールとポリソルベートに即時型アレルギーがある場合は禁忌。
卵やゼラチンは含まれていないので、禁忌では無い。
他のアレルギーも接種可能。
<CDCによる2020年12月時点の推奨>
既感染者は接種可能だが、感染後90日待つことは可能。
免疫不全者への接種は、データが不十分だが、接種可能。
妊婦・授乳中の接種は、データが不十分だが、接種可能。
ファイザーワクチンは16歳以上、
モデルナワクチンは18歳以上に接種可能。
それ以下の年齢は臨床治験中。
筋注で行うこと。
(以下は2021/03/06記載)
<接種間隔の延長について>
2021/02/19にLancetにアストラゼネカのワクチンでは、6週間隔より12週間隔の方が抗体上昇が2倍以上良いことが報告されました。
1回接種だけでも12週間後の抗体は維持されていて、12週間以降での有効率は81.3%でした。
https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(21)00432-3/fulltext
<結果>
2020年4月23日から12月6日までの間に、4つの研究全体で2万4422人の参加者が募集され、ワクチン接種を受けました。これらの分析のデータカットオフは2020年12月7日でした。332のNAAT陽性感染症は、2回目の投与から14日以上後に症候性感染症の主要評価項目を満たしました。
2回目の投与から14日以上後の全体的なワクチン有効性は66.7%(95%CI 57.4–74.0)であり、ChAdOx1 nCoV-19グループの8597人の参加者で84(1.0%)の症例がありました。対照群の8581人の参加者のうち248人(2.9%)。
最初の21日間の除外期間後、ChAdOx1 nCoV-19グループではCOVID-19の入院はなく、対照グループでは15人でした。 ChAdOx1nCoV-19グループの12282人の参加者のうち108人(0.9%)および対照グループの11962人の参加者のうち127人(1.1%)に重篤な有害事象がありました。
ワクチン接種とは無関係と見なされた7人の死亡(ChAdOx1 nCov-19グループで2人、対照グループで5人)があり、対照グループの1人の参加者で1人のCOVID-19による死亡がありました。
ワクチン接種後22日目から90日目までのワクチンの単回標準投与後のワクチン有効性は76.0%(59.3–85.9)であることが示されました。私たちのモデリング分析は、この最初の3か月の期間中に防御免疫能が衰えなかったことを示しました。同様に、抗体レベルはこの期間中維持され、90日目までの減衰は最小限でした(幾何平均比[GMR] 0.66 [95%CI 0.59–0.74])。 2回の標準投与を受けた参加者では、2回目の投与後、初回ブースト間隔が長い参加者の方が有効性が高かった(12週間以上でワクチン有効性81.3%[95%CI 60.3–91.2])間隔が短いものよりも(6週間未満でのワクチン有効性55.1%[33.0–69.9])。これらの観察結果は、18〜55歳の患者の6週間未満の間隔と比較して、12週間以上の間隔の後に結合抗体応答が2倍以上高いことを示したデータによって裏付けられています(GMR2.32 [GMR 2.32 [ 2.01–2.68])。
<解釈>
ChAdOx1 nCoV-19の2用量のこの一次分析の結果は、治験の中間分析で見られた結果と一致し、接種間隔によって結果が異なり、ワクチンが有効であることを確認しました。 3か月の投与間隔は、短い投与間隔のプログラムよりも利点があり、供給が不足しているときにできるだけ早く人口の最大数の個人を保護すると同時に、2回目の投与が遅れても有効であることを保証します。
(管理者注:これらのウイルスベクターワクチンでは、おそらく半年程度の間隔でもBoost効果はありそうです。同様にmRNAワクチンでも半年程度の間隔でも大丈夫な可能性が高そうです。今のワクチンの供給状況では多くの人がかなり広い間隔の2回接種をする必要があり、世界中からこういった知見が集まりそうです。
とりあえず医療従事者と高齢者とその介護者に1回接種して、その後、これらの人々に2回目の接種をするか、更に多くの人に1回接種するかは今後のデータ次第です。)
<ワクチン接種によって、重症者だけでなく、新規感染者も激減している>
カリフォルニア州立大学UCLAとUCSDのヘルスケアワーカー36,659名に対して、2020年12月16日から2021年2月9日にかけてmRNAワクチン接種が行われました。
その後、症状の有無に関わらず、毎週鼻腔からの検体を用いてPCR検査が行われ、新規感染がどのぐらい抑制されているかについて調査が行われました。
(有症状者だけを検査したのではなく、無症状者も検査しています)
1回接種後の2週間以降からは新規感染者が明らかに減りはじめ、2回接種後はこの傾向がさらに顕著になりました。
ワクチンの不顕性感染も含めた予防効果は90%以上です。
SARS-CoV-2 Infection after Vaccination in Health Care Workers in California
Keehner J. et al. NEJM. March 23, 2021
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMc2101927
2021/3月時点で、2300万名のアメリカ人のデータでは、CoVID-19ワクチンによる有意な死者の増加や、ADEの発生は報告されていません。
<アメリカにおけるアナフィラキシーの発生率>
<2020/03/27追記>
★アナフィラキシーの発生率:
ファイザーは100万接種に5回
Modernaは100万接種に2.8回
<アナフィラキシー患者のプロファイル>
★女性が90%以上
★発生までの中央値10分
★15分以内の発生率74〜86%
★30分以内の発生率90%
(アメリカで、150分後、20時間後に起きた2症例が報告されているが、これは食品等によるアナフィラキシーの紛れ込みだと思う。30〜120分後に起きたものは運動誘発が絡んでいる可能性がある。)
★アレルギーの既往80~86%
★アナフィラキシーの既往24%
★殆どが1回目に起きている。
(1回目でアナフィラキシーが起きたら2回目は打たないが、特定の人を除外することで2回目では殆ど起こらなくなることから、既往歴でかなりスクリーニングできる。)
COVID-19 vaccine safety update
Advisory Committee on Immunization Practices (ACIP) January 27, 2021
★21件/190万接種=11.1件/100万接種
Allergic Reactions Including Anaphylaxis After Receipt of the First Dose of Pfizer-BioNTech COVID-19 Vaccine-United States, December 14-23, 2020(Morbidity and Mortality Weekly Report January 15, 2021 / Vol. 70 / No. 2)
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/70/wr/mm70 02e1.htm?s_cid=mm7002e1_w
★47件/994万接種=4.7件/100万接種
ワクチン諮問委員会(ACIP)における米 国疾病予防管理局(CDC)会議資料 2021年3月1日
https://www.cdc.gov/vaccines/acip/meetings/down loads/slides-2021-02/28-03-01/05-covid-Shimabukuro.pdf
<日本におけるアナフィラキシーの発生率>
<2020/03/27追記>
2020/03/26に厚生労働省専門部会で、47名の重いアナフィラキシーが発生したと発表した。ファイザーワクチンの接種を受けた医療従事者は77万5122人で、このうち3万7450人が2回目を完了している。
このうち女性が44名、男性が3名だった。
通常、ワクチンによるアナフィラキシーは100万接種で10名以下というワクチンが多いので、この数字を100万接種に外挿すると約60名となり、狂犬病の83名に次いで多いことになる。
しかしアメリカでも医療従事者では237名/100万接種のアナフィラキシーが報告されたが、英米の一般人に対しては概ね5〜10名/100万接種程度に収まっている。
医療従事者に多いのは、多くのワクチンに含まれるポリソルベートのような物質に感作があるためか、些細に見える事象も全て拾い上げる効果のためかは分からないが、多くの薬剤で、注目されたときに副作用や副反応の報告が増える現象と同様のことなのかも知れない。
(この効果は注目されなくなると、数字は下がっていく。)
アナフィラキシーによる死者は2021/03/27時点でいない。
すぐにボスミン(エピネフリン)を筋注すれば改善するから、林業従事者よりはリスクは少ない。
アナフィラキシーを起こした人のプロファイルは、女性が8割以上、アナフィラキシー既往者が7割程度ということは世界共通のようです。
食物アレルギーや薬剤アレルギーによるアナフィラキシー既往者は最低30分は接種会場に留まってください。
26歳の女性が2021/03/19に接種し、23日までに亡くなった。
アナフィラキシーは起こっておらず、脳腫瘍からの脳出血とくも膜下出血が死因。
2021/02/26に接種した61歳女性が3/1にくも膜下出血で亡くなった。
これはワクチンと無関係だろうが、結論は接種群と非接種群のCohortを追うしか答えが出ない。
私の知人2名が20代の頃、AVM(脳動静脈奇形)の破裂によるくも膜下出血で倒れています。
長引く(持続性の)頭痛持ちの人は一度MRIを受けてください。
外科的治療で若い人のくも膜下出血の多くを防ぐことができます。