冨の分配が正規分布にならない理由
産業医をしている知り合いから教えていただいたブログを紹介します。
ブログの著者は元々物理をやっていた人のようです。
数十年前から食いっぱぐれた数学や物理の研究者が金融業界に参入するようになり、今世紀になってからは、アメリカの金融界では数学や物理のph.Dを持っている大学院生を大量に雇い入れ、大手金融機関のトレードシステムには確率方程式や経路積分等の数学や物理のツールが色々使われているようです。
経済学で使う数学は数学科や素粒子物理で使う数学に比べると難解では無いため、「数学は好きだけど、得意という程でも無い」というレベルの理系の人には就職先として向いているかも知れません。
「正規分布と指数分布は何が違うのか?」という疑問に答えることができるでしょうか?
大学での統計学の目的地の一つが「中心極限定理」ですが、それを知っている人も読む価値のあるブログです。
https://rikunora.hatenablog.com/entry/20170321/p1
<補足>
★このブログでは平衡系を扱っていて、時間発展に関する方程式には触れていない。最後に緩やかなインフレを仄めかしているが、定状状態の解では無い解決法を示すことは少し飛躍がある。
★物理系が特殊なのは、あなたの持っている酸素と私の持っている酸素は”完全に同じ”ものだから、場合の数が減る。
★2者間のランダムな分配が行われた時のジニ係数は0.5であり、2者間のランダムな同額の賭けが行われた場合のジニ係数は0.77である。2014年の日本のジニ係数は0.57である(税金や福祉で再分配後は0.33程度)。日本は既に公平な社会では無いが、日本だけで無く、多くの先進国は不平等な社会である。
ジニ係数を縮小する最も効果的な方法は歴史的に戦争や革命であったが、同じことが起きないことを願っている。
★緩やかなインフレが貧富の差を解消するかというとそうでも無い。目減りしない資産:例えば株式や不動産やビットコイン等の抜け道があり、インフレ政策だけでは貧富の差を解消することは難しい。
★正規分布の微分方程式:f'(x) = - λ x f(x)を、例えば、f'(x) = - λ x^3 f(x)のようにできるかというと、正規分布にすらならない現状では不可能だ。かなり公平な社会に近付くと思うが。
★f'(x) = - λ x^n f(x) (n<0)という方程式もあり得るが、酷い世の中になると思う。(n=0 が指数分布、 n = 1 が正規分布)
★連帯保証人という制度は、海外では存在しない国が多いらしいが、これは3者間の交換を許す多項式になり、しかも分割がランダムでは無いという条件も付くため、不平等性が増す。(線形方程式なので、初期値鋭敏性は無く、速やかに定状状態に達すると思う。)
(2021/08/01 管理者記載)