NSAIDs

解熱鎮痛剤(NSAIDs)は胎児の動脈管を閉鎖させたり、壊死性腸炎を増加させるため、妊娠中に投与することは極力避ける必要がある。

<投与形態別インドメタシン血中濃度>

(単位:ng/ml)

在胎25~37wのインドメタシン経口投与した妊婦26例で6時間後に採血 ⇒ 胎児血中濃度/母体血中濃度=0.97

(Am J Obstet Gynecol 1990;162:549-554)

<ケトプロフェンの血中濃度>

モーラステープ1枚(ケトプロフェン20mg含有)毎日貼付するとCmaxは3日目以降はほぼ一定となり、122~156ng/mLであった。

一方、ケトプロフェン50mg含有の経口剤ではCmaxは10000ng/mLである。

<インドメタシン投与量によって羊水量が影響を受ける>

インドメタシン投与量が多いほど、在胎20~30wの頃に羊水過小が起こる。

(Goldenberg RL: Am J Obstet Gynecol 1989;160:1196)


<解熱鎮痛剤の胎児への影響>

インドメタシンによる切迫早産の治療を受け、妊娠30w以前に分娩になった57例を、インドメタシンによる治療を受けていなかったmatched control 57例と比較した。

⇒ ・RDS発生率や児の体重に差はなかった。

・インドメタシン群では、

①尿量の減少、②壊死性腸炎の増加、③頭蓋内出血の増加、④インドメタシン抵抗性の動脈管開存の増加

が有意に見られた。

(Norton ME, et al. :NEJM 1993;329:1602.)


<比較的安全な解熱鎮痛剤>

・アセトアミノフェン (non-NSAIDs)

全妊娠期間中を通じて第一選択。

過量投与時の中毒に注意

・アスピリン

抗リン脂質抗体症候群に使用される。

妊娠末期の投与で出血異常のリスク

・チアラミド塩酸塩 (ソランタール)

塩基性NSAIDs。 COX阻害作用はなく、臨床効果は不十分。

<アセトアミノフェン>

・成人には1回300~500mg投与。原則1日2回まで。1日最大1500mg。

・妊娠中の影響

過量投与で、一般にも肝臓、腎臓、心筋の壊死が報告されている。

過量投与によるアメリカでの死亡者数は126人(薬剤による死亡の14%)を占める。

(Lee WM: NEJM 1995;333:1118)

・N-acetylcysteineがアセトアミノフェン過量投与による中毒に有効。

・中毒量

5~8g/dayを数週間、3~4g/dayを1年間で肝障害。

服用量と血中濃度が必ずしも平行しない。

血中濃度の測定が重要。

肝機能障害がない場合、25時間で7.5~10g以上摂取した場合は要注意。