感冒罹患中の予防接種は抗体上昇に影響しません。また副反応も増えません。
<対象>
総数:386名のうち、
咳・鼻汁・微熱:128名
中耳炎:41名
下痢:13名
いずれかの症状あり:157名
症状無し:229名
MMRワクチン接種後の十分な抗体上昇する接種者の比率や、副反応の発生率に2群間で有意差無し。
JAMA 1996: 275; 704-707
RV1を、アメリカにおける定期予防接種ワクチン(DTaP-HBV-IPV, PCV7, Hib)
と同時接種しても、それらの免疫応答は低下しない。
Dennehy PH et al. Pediatrics 2008; 122: e1062-e1066,
RV5を、EUにおける6種混合ワクチン(Infanrix hexa(GSK), Hexavac(MSD);)と同時に接種しても、各ワクチン成分に対する免疫応答は低下しない。
Ciarlet M et al. Pediatr Infect Dis J 2009; 28: 177-81.
<補足>
RV1 と OPVを同時接種すると、ポリオに対する血清中和抗体価に影響しないが、
抗ロタウイルスIgA抗体価は先進国に比べて低くなる。
Steele AD et al. Vaccine 2010; 28: 6542-6548.
RV5とOPVを同時接種すると、ポリオに対する血清中和抗体価に影響しないが、
抗ロタウイルスIgA抗体のGMTは46%低下した。陽転率に影響しなかった。
Baxter R, Bakshi N, Fireman B, Lewis E, Ray P, Vellozzi C, Klein NP.
Lack of association of guillain-barre syndrome with vaccinations.
Clin Infect Dis. 2013 Jul;57(2):197-204. doi: 10.1093/cid/cit222. Epub 2013 Apr 11.
1.咳や鼻水があると接種できないと思われている。
2.何か内服していると接種できないと思われている。
3.熱性痙攣があると長期間ワクチンを打てないと思われている。
4.ワクチンを打つよりも自然感染する方が免疫がしっかり付き子供にとって有利だと思われている。
5.任意接種のワクチンは重要ではないと思われている。
6.成人にはワクチンを打つ必要がないと思われている。
(7.稀ですがワクチンは有害で、毒を打たれるかのように思っている人がいます。)
これらは全て誤解であり、どんどん積極的にワクチンを打つことが子供のためになります。
上記の迷信を信じて予防接種を打たなかったり、どんどん延期することは子供を虐待することにも等しい行為です。
少々の感冒症状があっても問題なく接種できますし、喘息発作が出ていても接種できます。
(ただしステロイド内服や静注されている場合は例外です。一方、ステロイド吸入や外用なら問題ありません。)
37.5℃を越えていても正常熱型であればやはり問題ありません。
高熱が出ている場合は、(信頼性の低い少人数の統計ですが)免疫の付き方が弱いとする報告がありますが、
それでも予防のために十分な免疫が付いています。
微熱ではこういった差もありません。
欧米では体温も測らず、聴診や咽頭所見も診察せず、流れ作業として多くの人にワクチンを打っていきます。
熱性痙攣を起こした後、1年間はワクチンを打てないとされていた時期がありますが、
最近のガイドラインでは1~3ヶ月空けたら打てることになっていますし、
そもそも熱性痙攣は良性疾患で重積しなければ後遺症を残すことはありません。
ワクチンの副反応による発熱は38℃前後までが殆どで、高熱を来すことは少ないです。
「自然感染はワクチンよりも免疫が強く付く」という部分は確かに正しいのですが、
自然感染には恐ろしい合併症があり、ワクチンの副反応よりも必ず重篤なことが起きます。
自然感染がどれほど怖いものであるかは、下記の各疾患についての解説で説明します。
ワクチンでも十分強い免疫は付きます。
不必要に強い免疫を付けるために我が子に一か八かの自然感染を強いるのでしょうか?
誤解している方には死亡率の高い破傷風、百日咳、麻疹等の項目を読んでいただきたいと思います。
海外では多くの国で公費負担で国民全員に接種されている水痘、ムンプス、インフルエンザ、
Hibワクチン、肺炎球菌7価ワクチン等が、日本では任意接種であったり入手すらできないのは
・財務省がお金を使いたくない。
・厚生労働省がワクチンの副反応でマスコミに叩かれたり、訴えられることを恐れている。
(自然感染で訴えられることはありませんから、皆が勝手に自然感染してもらうことが厚生労働省にとって最も楽です。)
という2つの理由以外はありません。
マスコミにも副反応が出た時だけ騒ぐのではなく、自然感染の患者が増えたら社会問題として騒いで欲しいものです。
医療の多くの分野でトップを走るアメリカを初め欧米のワクチン事情と比較しながら解説していきます。
まずはアメリカにおけるワクチンのスケジュールを見てみましょう。