母乳栄養児は人工乳栄養児より体重は1S.D.程度小さくなるが、頭囲はむしろわずかに大きい。
人工乳は将来のメタボや糖尿病を増やす可能性がある。
NICUでは人工乳に比べて母乳はほぼ全ての点において優位性があることは常識です。
壊死性腸炎の防止、認知機能の改善、感染防御等々、今でも毎年母乳に関する論文が出続けています。
成熟児では、AAPのサイトによると、感染症になるリスクは、人工乳栄養児に比べて、母乳栄養児は1/3~1/4になると記載されていました。
以下は、647名の日本人の赤ちゃんから得られたデータを元に順天堂大学の山城雄一郎先生が解析されたものです。
1.母乳は人工乳に比べて、-1S.D.程度、身長と体重が小さくなるが、頭囲は月齢6頃から、むしろ数%tile 母乳栄養児の方が大きい。
→母乳では脳の発達に問題が無いので、少々身長や体重が小さくても人工乳を足さなくても良い。
(母乳栄養児は、人工乳栄養児とは違った成長曲線を用いる必要がある。)
2.母乳は低蛋白
(100kcal当たりのタンパク量は1.47g、脂質4.7g、炭水化物9g。一方、人工乳はタンパク量は2.28g、脂質5.26g、炭水化物10.9g。)
高蛋白食→バリン、ロイシン、イソロイシン上昇→インスリン分泌刺激→GH分泌→IGF-1生成→脂肪前駆細胞を脂肪細胞に分化誘導→肥満
という具合に人工乳は高蛋白であることによって、肥満を起こさせます。
3.昭和30~40年代生まれの世代は70%が人工乳で育ったため、現在メタボやDMが多い。
4.母乳でも非常に太ってしまう症例もあり、母乳だからといって100%肥満や将来のメタボや糖尿病を予防できるわけではない。
母乳の場合は少々身体が小さめでも、心配は要らないことが多い。安易に、「体重の増えが悪いからミルクを足しましょう。」という保健指導が正しいかを小児科医に相談してください。