お勧めの育児本

国際的に見て、日本人の自尊心の低さは目に余るものがあります。

自分のことが好きな子どもは他国の多くが70%程度なのに対して、日本の子どもは30%台しかいません。

この日本人の特質は、”謙遜”という美しい言葉に置き換えることができますが、同質であることと協調を求められてきた日本文化の良い面と、悪い面の両方を表しています。

夜の10時に小学生が塾からランドセルを背負って街を歩ける国は世界中に殆ど存在しません。警察に届出のあった遺失物の63%が落とし主の元に戻ってきます。外国でこういう話しをすると皆「奇蹟だ」と言います。

しかし、この高いモラルは、時に強い同調圧力となって我々自身を苦しめることもあります。

幼い頃から我々が親から言われ続けた「~~してはいけません。」という禁止事項だらけの躾、頑張っても褒められず、失敗したときだけ叱られることは正しいのでしょうか?

犬のブリーダーは上手くできたときだけ褒めて餌を与え、失敗したときは無視します。

失敗したときだけ叩いて育てた犬は噛む犬になります。

叱られる恐怖で何かをするよりも、褒められるために頑張る方が長続きします。

これは人種どころか生物種を超えた真実です。

幼い頃に褒められることで自尊心(=自己肯定感。英語では、Self-esteem と言うので、正確には”自己評価”と訳すべきでしょうか)が育ちます。

幼い頃に親から愛された経験は愛着(Attachment)形成を促します。

「あなたは生きているだけで愛される価値があるのですよ」という親からのメッセージを与え続けることは愛着形成と自己肯定感を育みます。

この”根拠の無い自尊心”は、勉強ができるとか、足が速いとか、容姿が良いとかいう根拠のある自尊心よりも遙かに強いものです。誰かに勉強で負けたり、誰かに徒競走で負けたり、容姿が醜いと言われたぐらいでは突き崩すことができない強靱なもので、人生の大きな推進力になります。

ストレス耐性を高め、受験の失敗や、職を失ったぐらいでは揺るがない自尊心は幼い頃に培われるのです。

 

逆に、自己否定という強い信念を持っている場合、修正するのは難しく、特に思春期期を超えてしまうとかなり困難になります。

一つ注意していただきたいのは、親が色々構ったり、習い事を”させたり”、進路にあれこれ口出しすることは、「子どもの幸せを考えてやっているのだ」と言っていても実際は、親の自己愛でしかないことがとても多いのです。

親が実現できなかった夢を子どもにさせていないでしょうか?

子がやりたいことではなく、親がやりたかったことを強要させられているケースでは、否定される言葉を言われ続けた子と同様に自己肯定感が低いのです。

親は後ろから鞭打って子を歩かせるのではなく、子に親の背中を見せながら歩いてください。

 

世間を騒がせるような犯罪者の多くは、愛着が形成されるどころか、幼い頃に(ネグレクトも含めて)虐待を受けている人が殆どなのです。

特に死刑囚となっても、最後まで反省の言葉を述べない人は間違いなく虐待の既往があり、悲惨だった自分の人生を終わらせたいと願っています。

このような状態で成人を迎えた人にはリカバーするチャンスは多くありません。リカバーできるのは親だけなのですが、その親も虐待の既往を持っていることも多く、とても間違った方向に行ってしまった育児をやり直す余裕もありません。

殺人事件の被害者の家族にも一生苦しみが続きますが、加害者の多くもまた、幼少期から死んで消えてしまいたいほどの辛い記憶と自分の無価値感と愛情飢餓がずっと続いているのです。

 

ここでは宗教的な是非については議論しませんが、死刑という制度は、幼い頃に被虐待者であった刑事事件の加害者の辛い人生を楽にしてあげられる数少ない方法なのかも知れません。

反応性愛着障害については、ヘネシー澄子先生の本に、虐待が与える子どもへの影響については杉山登志郎先生の著作に詳しく書かれています。

 

おそらく晩婚化によって世界中で増えてきている自閉症やADHDなどの発達障害に関する本は、褒めることが難しい障害を持つ子どもへの接し方が書かれています。

「指示は具体的に分かり易く」、「乗り越えられる程度の課題を与えて、成功体験を積ませながら次第に課題の難易度を上げる」、などなどです。

 

実は発達障害への対応方法は定型発達児にも適用できるのです。

「百聞は一見にしかず」という言葉もそうですね。視覚的で、具体的な方が分かり易いのは誰だってそうです。

カオスのような場所で、騒音を聞きながら勉強するより、自分の部屋とか静かでパーティションで区切られた図書館で勉強した方が捗るのは、皆そうなんです。

自閉症の子を持つ親は、吉田友子先生の著作を読んでください。

吉田先生は私が会ったことのある人で最も優れた人格者でした。子どもへの愛情に溢れた人ですので、子どもの自尊心が傷付かないようにする対応方法は、親にとって少し辛辣で、受け容れがたいと感じるかも知れませんが、きっと役に立つと思います。

 

お子さんが2人以上、特に二卵性双生児のいる家庭なら容易に想像が付くでしょうが、同じように育児しても違った性格になります。生まれながらに性格の多くの部分、おそらく3~4割は決まっています。

とても扱いにくく、気難しい子もいますが、叱ってばかりではなく、どこか良いところがないか探してみてください。

そして1回叱ったら、2回は褒めるようにしてください。

子を怒鳴ったり、叩いたりということは(命に関わるような危険なことをしたとき以外は)我慢してください。

 

2歳以降は叱ることも有効な教育方法になりますが、いつも褒めてくれる人から叱られたということは強烈に記憶に残ります。逆にいつも怒ってばかりいる人の言うことは右から左に抜けていきます。

この際は

1.褒めることと叱ることとのバランスが大切になること(自尊心を損なわないバランスで叱ることが大切です。)

2.叱るときは”人格”や”能力”を否定するのではなく、”行為”や”考え方”や”怠惰さ”を非難すること

3.褒めるときは”努力”や”寛容性”や”柔軟な考え方”を褒めるようにしてください。元々備わった”能力”(頭脳、容姿など)を褒めると失敗を恐れて新しい挑戦をしない子になることがコロンビア大学の研究で知られています。

 

自尊心が十分育っていれば、その後の失敗は自尊心を削ぎ取る凶器になるのではなく、糧になります。

 

日本の人口が減っている中で、今後は労働者の供給が、需要を下回り続けるので、ブラックな企業は長時間の残業を強いることは難しくなっていくでしょう。しかし、先進国でもかなり多い自殺率を減らすのは、労働力の流動性の増加や、法的拘束力よりも幼い頃に自己肯定感を培うことが最も有効なのです。

 

下記の本を読むと、幼い頃の愛着形成や自己肯定感の確立に失敗すると、不登校、うつ、自殺、反社会的行動、ギャンブル、アルコール依存症、薬物依存症、パーソナリティ障害を起こすことが分かります。

こういったことに思い当たる親は、自分自身もそういった躾を受けてきたことがしばしばあります。しかし負の連鎖を自分の代で断ち切ってください。

愛情飢餓があるまま親になってしまった場合、自分がもらえなかった愛情を、子に注ぐことは難しいかも知れません。

それでも今やるしかないのです。

 

しかし、佐々木正美先生の言葉を借りるなら、「人生で最もクリエイティブな仕事は育児だ」そうです。

子の人生を素晴らしいものにできるのも、やはり親なのです。


子どもへのまなざし

 

佐々木正美 著

 

自尊心を育てることが大切であること、

「この子のために」と言いながら、親自身の自己愛に基づく子への過干渉がとても多いことが忠告されています。

子は親の所有物ではありません。親は、子のしたいことを応援するサポーターであり続けてください。

子を愛せない母 母を拒否する子

 

ヘネシー澄子 著

 

幼少期の愛着形成に失敗すると、どれほど酷い人生が待っているかを警告した本。

被虐待児に現れる症状が紹介されています。

愛着障害は治りますか?

 

愛甲修子 著

 

親子の愛着形成が上手くできず、愛情に飢えていたり、自分には価値があるのか分からないという人も、途切れてしまった愛着形成の階段をもう一度登り始めることができます。

それは一歩一歩進むしかありませんが、登ることは可能です。


魔法の言葉かけ

 

shizu,平岩幹男

 

自閉症へのABA(応用行動分析)を利用した「言葉かけ」の方法を紹介。

★注意するときは、「ダメだよ」→「〜しようね」と言いかえる
★できていないときに指摘するのではなく、できているときに褒める
★褒めるときは人と比べたり、嫌味をつけ加えたりしない
など実は定型発達児の子育てにも応用できます。

しかし「できないことがたくさんあってもダメじゃないよ」とその子の欠点も含めた存在自体を受け入れることも大切です。

母という病

 

岡田尊司 著

 

「乳幼児期に、母親から質的・量的に十分な愛情を得られなかった人は、その後の人生で精神的に問題を抱えることになる。」という病。

毒であった母の悪影響を立ち切るために、一度、悪い子になってみる、というのも解決方法の一つです。
親の期待に沿うための過剰適応は自己肯定感を育んでくれません。

親と音信不通になり、親が喜んだ職業も辞め、行きたいところへいって、好きなことをしても良いのです。そうしないと人を責め、人を信じられない暗雲とした人生が一生続くかも知れません。

あなたは親のペットではありません。あなたの子もあなたの夢を実現するための道具ではありません。

毒になる親 一生苦しむ子ども

 

スーザン・フォワード 著

 

父母に、子供の頃から褒められることなく、毎日否定される言葉を言われ続けた人が、人生での失敗や上司の叱責を切っ掛けに鬱や自殺で社会から脱落することがあります。

その原因は職場より以前に、親にあるのです。
虐待されてきた自分のために泣いて良いのです。無理して親を許す必要はありません。

毒だった親と縁を切っても良いのです。
自覚無く、自分が親になったときにきっと我が子にも、幼い頃、自分がされてきた厳しい対応をしてしまうでしょう。
あなたが毒じゃなくなれば、無口だったあなたの子は、よくしゃべり、よく笑うようになるでしょう。


「その子らしさ」を生かす子育て

 

吉田友子

 

自閉症児への対応方法が具体的に書かれている。

具体的に、視覚的に指示を与え、課題のハードルは乗り越えられそうなものを与える。できないことを叱るよりも、できるように努力した過程を褒める。

親からすると辛い現実ですが、親が辛い以上に子どもはもっと辛いのだ。だからトラブルになる人との交わりは最小限にしましょうという骨子です。

また手の掛かる自閉症児にばかり構っていると、定型発達の兄弟は愛着障害を起こし、成人した後に音信不通になることが多いので、兄弟には母親を独占できる時間を作ってあげましょう。

 

自閉症児を世間から隔離するような方針だが、決して邪魔者扱いしているのではない。吉田先生は私が出会ったことのある人で、最高の人格者で愛情に溢れた人です。

境界性パーソナリティ障害

 

岡田尊司

 

パーソナリティ(人格)障害とは「変な性格」という意味では無い。

凄く明るく積極的で魅力的に振る舞ったかと思えば、急に落ち込んだり、見捨てられたと感じると自殺を仄めかして周りを振り回す人。

日本人の2%、アメリカ人の10%がパーソナリティ障害であるという統計もある。

これは低い自己肯定感に基づいた自己愛を求めるために生じる。

幼い頃、得られなかった親の愛情を第三者に求めているのである。

幼少期に身体的虐待やネグレクトを経験していることが多い。

発達障害のいま

 

杉山登志郎

 

虐待を受けた自閉症児のうち、知的境界域以下の群は1割程度で、9割が高機能群の自閉症である。高機能群は診断が遅れやすく、未診断の自閉症児は被虐待のリスクが高い。

自閉症に非行を合併する原因は、いじめではなく、診断の遅れと幼児期の虐待が原因である。身体的虐待で6.3倍、ネグレクトで3.7倍、非行のリスクが上昇する。学童期以降のいじめでは有意に上昇しない。

 

不登校児の半数以上が高機能自閉症児であり、その大半が診断を受けていなかった。
「行く気になるまで待ちましょう」という方針は間違っている。青年期の引き籠もりに移行するケースも少なくない。


不登校児が教えてくれたもの

 

森下一 著

 

「親が変われば子どもも変わる」

子に無関心だったり、逆に親自分の希望を押し付けていないでしょうか? もしくは子に発達障害が隠れていないでしょうか?

人を動かす

 

カーネギー 著

 

自己啓発本であるが、実は認知行動療法の具体的方法が書かれた本。

「道は開ける」と共に1500万部売れた。子が思春期の頃に読ませて欲しい。